NPO法人リ・ヴィッド 設立趣旨書


今日、社会福祉の活動の中でボランティアの果たす役割は非常に大きい。
特に保健・福祉の増進に関わる部分では、いままでの医療制度の枠組みの中だけではカバーできない分野が多く、
このような部分を補うのは非営利のボランティア組織であると考えられる。
日本人の3人に1人が癌が原因で死亡すると言われている。
なかでも女性の乳癌は食事や生活習慣の欧米化にともなって急速に増加してきている。
乳癌になる女性の多くが40-50代の働き盛りで、家庭においても仕事においても重要な役割を担っていることが多い。
そのような女性は乳癌になることで、さまざまな困難や苦しみに直面している。
それは単に身体的苦しみだけではなく、精神的・社会的痛みを伴うものである。乳癌患者のなかには、運動療法や心理的カウンセリング、術後の補正具や治療法などについての相談窓口を必要としている人も多い。
乳癌の患者を支援するための組織としては、今まで主に乳癌体験者が集まって話し合う「患者会」があるだけであった。
アメリカにおいては、" I can cope program"のような癌患者を支援する医療や心理関係の専門家からなる全国をカバーするような支援組織があるが、日本においてはまだそのような本格的な組織はない。
「がんを知って歩む会」のような組織もあるが、まだ少数であり、グループ療法や運動療法など散発的に試験的に行われているのが実状であると思われる。
野町・鴇田らは乳癌の患者を対象に、術後の運動療法の講座"Re-vid"を開いて、
乳癌術後の運動障害に悩む多くの患者のQOLの向上に尽くしてきた。
今回私たちは、Re-vid をさらに発展させ、乳癌術後の運動療法のみでなく、
心理的カウンセリング(グループ療法などを含む)、術後の補正具の相談、薬剤の作用や副作用の相談等、広範な乳癌術後の患者のニーズに答えられるような専門家からなる支援組織を立ち上げたいと考えている。
このような支援組織は保健・福祉の増進を目的とした非営利団体であるため、NPOの認証を受けることが可能である。
NPOとすることで、Re-vidの活動の上で対外的にも財政的にも多くのメリットがある。
私たちはRe-vid(NPO)を乳癌患者支援組織の京都・滋賀地区の中心として位置付けたいと考えている。
以上の趣意に賛同していただける多くの方々の積極的な参加をここに呼びかけたいと思う。
乳癌の治療・ケアに携わる人のみならず、乳癌の体験者、心理関係の専門家、運動療法の専門家、この会の運営に関わっていただける方、どのようなサポートも大歓迎で、活動に参加していただきたいと思う。
発起人を代表して、この会が一日でも早く現実のものとなるよう、広く皆様に訴えたい。

    2000年7月吉日

京都警察病院外科     堀  泰祐
Fitness Nomachi OZ     野町 茂子
Office TOKITA        鴇田佳津子